社長の「あり方」とは?やり方より先に決めるべき理由

あり方・社長の心構え

「売上を伸ばす方法を教えてほしい」「人が育つ仕組みがほしい」。社長からいただく相談の多くは、”やり方”の相談です。もちろん、やり方は大切です。けれど私は、やり方の話に入る前に、必ず一度立ち止まって、こう問いかけます。

「社長は、この会社をどんな会社にしたいですか?」

この記事では、経営における「あり方」とは何か、そしてなぜ、やり方より先に決めておく必要があるのかをお話しします。

経営における「あり方」とは

ここでいう「あり方」とは、社長自身が大切にしたい価値観と、それにもとづく判断の軸のことです。言いかえると、次の3つの問いへの答えです。

  • 何のために、この会社をやっているのか(目的・想い)
  • 何を大切にし、何をやらないのか(価値観・判断基準)
  • 5年後、どんな会社でありたいのか(ありたい姿)

一方の「やり方」は、戦略、集客の手法、評価制度、管理会計など、目的にたどり着くための手段です。世の中にあるノウハウの多くは、こちらに属します。

あり方は「目的地」、やり方は「地図と乗り物」と考えるとわかりやすいかもしれません。どんなに性能のよい乗り物でも、行き先が決まっていなければ、走るほどに迷います。

なぜ、やり方より先に「あり方」なのか

1. 判断がぶれなくなる

社長の毎日は、判断の連続です。この仕事を受けるか、断るか。この人を採用するか、見送るか。値上げをするか、据え置くか。

あり方が言葉になっていないと、そのときの気分や、声の大きい人の意見、目先の数字に判断が引っ張られます。昨日と今日で言うことが変わる社長のもとでは、社員も動けません。

反対に、「うちは〇〇を大切にする会社だ」という軸があれば、迷ったときに戻る場所ができます。判断が速くなり、そして軽くなります。

2. ノウハウが「自社のもの」になる

同じ評価制度を入れても、うまくいく会社と形骸化する会社があります。その差は、制度そのものよりも、「何のためにこの制度を入れるのか」が社長と社員のあいだで共有されているかどうかにあります。

あり方が決まっていれば、数あるやり方の中から、自社に合うものを選べます。合わないものは、勇気をもって「やらない」と決められます。ノウハウに振り回されるのではなく、ノウハウを使いこなせるようになるのです。

3. 戦略・組織・数字が同じ方向を向く

経営には、事業の戦略、組織と人、数字とお金、そして外への発信と、いくつもの領域があります。それぞれを別々に整えようとすると、部分的にはよくなっても、全体としてはちぐはぐになりがちです。

あり方は、これらすべてを貫く一本の軸です。軸が通ると、採用で求める人物像も、評価で大切にする行動も、追いかける数字も、発信するメッセージも、自然とそろってきます。

4. 社員が「自分ごと」として動き出す

社員は、社長の言葉よりも、社長の判断を見ています。あり方にもとづいた判断が積み重なると、「この会社はこういうときにこう考える」という共通の理解が生まれます。

すると、社長がいちいち指示を出さなくても、社員が自分で考えて動けるようになります。社長の想いという主旋律に、社員一人ひとりの音が重なり、会社全体がひとつの響きになっていく。私が「伴奏」という言葉を大切にしているのは、この状態をつくりたいからです。

「あり方」を言葉にする3つの問い

あり方は、頭の中にあるだけでは機能しません。言葉にして、はじめて判断の軸になります。まずは、次の3つの問いに、ノートに手書きで答えてみてください。

  1. 会社を立ち上げた(継いだ)とき、本当は何を実現したかったのか?
    売上や規模ではなく、そのとき胸にあった想いを思い出してみます。
  2. これまでの経営で、「これだけは譲れなかった」場面はどこか?
    損をしてでも守ったものの中に、あなたの価値観が表れています。
  3. 5年後、社員やお客様から、どんな会社だと言われていたいか?
    未来のありたい姿から逆算すると、今やるべきこと、やらないことが見えてきます。

きれいな言葉にする必要はありません。最初は箇条書きでも、走り書きでもかまいません。大切なのは、社長自身の言葉であることです。

あり方は、一度決めたら終わりではない

あり方は、額に入れて飾るものではありません。日々の判断の中で使い、ずれていないかを確かめ、ときには磨き直していくものです。

経営は、想定外の連続です。だからこそ、定期的に立ち止まり、「今の判断は、自分たちのあり方に沿っているか」を振り返る時間が必要です。私が伴奏者として定例の対話を大切にしているのも、そのためです。

まとめ

  • あり方とは、社長が大切にしたい価値観と、それにもとづく判断の軸のこと
  • あり方が先にあると、判断がぶれず、ノウハウを自社のものとして使いこなせる
  • 戦略・組織・数字・発信が、一本の軸で同じ方向を向く
  • あり方は言葉にし、日々の判断で使い、定期的に振り返ることで生きてくる

「やり方はいろいろ試してきたけれど、なぜかうまくいかない」。そう感じている社長ほど、一度あり方に立ち返ってみる価値があります。

経営伴奏では、無料の社長面談で、社長の想いや今のお悩みをじっくり伺っています。答えを押しつけることはしません。問いかけと対話を通じて、社長自身の言葉を一緒に見つけていきます。

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